慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文

[ English | Japanese ]
Back to Index Page

学位取得年度 2011年度
氏名 アフマド バスキ (Achmad Basuki)
論文題目 Transit Architecture for IP Multicast
(IP マルチキャストのためのトランジットアーキテクチャ)
論文要旨

本博士論文では、ODMT (On-demand Inter-domain Multicast Tunneling)と呼ばれる、IP マルチキャスト網のドメイン間接続を実現するトランジットアーキテクチャを提案する。ODMT は、新しいトンネリング接続機構により、インターネット上に分断されたIP マルチキャスト網を接続することで、現在のIP マルチキャストが抱えるドメイン間接続の複雑性を解決し、オープンサービスモデルを提供する。ODMT は汎用的なSource-Specific Multicast (SSM)のサービスモデルを踏襲してドメイン間接続を行うことが可能であり、既存のプロトコル改変を必要とせずにオンデマンドにトンネリング接続を行う技術展開を可能とする。

ODMT が提供するトンネリング接続機構はオーバーレイ技術によるネットワーク接続に等しく、ISP が運用するポリシーを考慮したドメイン間接続を実現する。つまり、ODMT を採用した各ISP は、分断されたIP マルチキャスト網を任意のポリシー、例えば既存のユニキャスト経路制御ポリシーや、各ISP が想定するサービスレベルを用いてトンネリング接続することを可能とする。本提案アーキテクチャを実機のマルチキャストルーターを用いたテストベッドにて検証し、更に広域インターネット網でのシミュレーションによる評価を行った。その結果、ODMT が構成するドメイン間IP マルチキャスト網は、接続した全てのISP に対して十分な公平性を保ったマルチキャスト接続が可能であることを示した。

またODMTによる広域IP マルチキャスト網における放送型サービスのような大規模なマルチキャストサービスを展開した際に必要となる、受信者数推測手法(AMEGoS (Adaptive Method for Estimating Group Size Information))の提案を行った。この推測手法はランダムにフィードバックを行う受信者を選択する適応型サンプリング技術を用いることで、全ての受信者からの膨大なフィードバック情報を得ること無く、受信者数の推測を正確に行う。この技術はテストベッドを用いてエミュレーションされ、迅速かつスケーラブル、そして正確に推測可能であることを提示した。またAMEGoS を用いた定期的な受信者推移観測は、ODMT を用いたトランジットアーキテクチャを展開するために必要となる、より適切なトンネリング接続先を選択する技術として寄与する。

キーワード: IP マルチキャスト、インタードメインマルチキャスト、オンデマンド型ト ンネリング、オーバーレイネットワーク、参加状態監視手法、適応型サンプリング

連絡先 本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
Achmad Basuki ( abazh at sfc.wide.ad.jp )


Copyright 2012, MAUI Project
Last update:

研究会のホームページに戻る