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従来の映像転送機構を利用したコミュニケーション環境は狭帯域なホームネットワークなどを想定しているため、映像品質を犠牲にした狭帯域転送を行なっている。
しかし、インターネットは広帯域化しており、その変化とともにインターネットにおいて利用されるコンテンツも動画や音声など、より高品質なものが求められつつあるが、広域分散環境において高品質な映像を伝達する技術はまだ確立されていない。
本研究では、映像フォーマットとしてDV(Digital Video)フォーマットを採用した高品質映像転送環境を構築した。
DVフォーマットは、広く利用されている高品質な映像フォーマットであり、安価で容易に入手できる。
本システムは、DV映像を転送するために、最も一般的なリアルタイム転送用プロトコルであるRTP(Realtime Transport Protocol)を用い、また、次世代インターネットに適
応するためにIPv4とIPv6の両方に対応した。
それらにより、誰でも高品質な映像転送ができる新しい環境を構築した。
しかし、その環境を一般的にするために開発だけではなく、普及も必要である。
本研究では、将来的に出現する他のシステムとの相互接続性確保のために、DV用のRTPペイロードフォーマットをRFC3189とRFC3190としてIETF(Internet Engineering Task Force)にて標準化した。
また、複数のオペレーティングシステム上で動作するように本システムの移植作業を行ない、利便性を向上させた。
本システムはフリーソフトとして配布され、研究やイベントなどで広く利用されている。
インターネットはend-to-endでの輻輳回避を行ない、帯域を共有するモデルにより成り立っているため、ネットワークが広帯域化してもendノードでの輻輳制御機構は必要である。
しかし、RTPには輻輳制御機構がない。
本システムでは、TCPのスループットを基準とした輻輳制御を実現した。
また、ECN(Explicit Congestion Notification)を利用して輻輳制御機構の安定性を向上した。
本研究では、本システムに輻輳制御機構を付加することにより、様々なネットワーク環境への適応性を実現した。
本輻輳制御機構により、自動的に最適な利用帯域が選択されるため、ネットワークに関する知識がないユーザでもパケット喪失が少なく、効率の良い映像転送が行なえる。
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文
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学位取得年度
2003年度
氏名
小川 晃通 (OGAWA, Akimichi)
論文題目
輻輳制御機構を有するDVビデオ転送の設計と実装
Design and Implementation of DV Based Video Transportation with Congestion Control
論文要旨
本研究では、インターネットを利用した低遅延で高品質な映像コミュニケーション環境を実現した。
連絡先
本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
小川 晃通 (akimichi@sfc.wide.ad.jp)
Copyright 2000, MAUI Project
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