慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文

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学位取得年度 2009年度
氏名 石田 剛朗 (ISHIDA, Takaaki)
論文題目 情報の憑依と地縛による実空間コミュニケーションシステム
論文要旨

本研究では,情報の伝達や共有が位置や時刻を積極的に活用する実空間コミュニケーションシステムを提案し,その有用性をシミュレーションと実証実験によって検証した.

コミュニケーションシステムは人間の情報伝達能力である聴覚や視覚などを支援するテクノロジとして発展してきた.電話や放送などのコミュニケーションシステムでは,音・映像・文字などを利用し,聴覚や視覚などの本来の人間の能力を超えた新しいシステムが確立している.特にインターネットでは,実社会や実空間での制約概念を超越した仮想空間でのコミュニケーション機能が発展している.

しかし,一方では共通の場における情報伝達や不特定な対象との情報共有など,現状のコミュニケーションテクノロジとして実現されてないものは多い.日常生活において極めて身近な噂や口コミのように,情報がそれを媒介する人やモノの移動を通じて運搬され,必要とされる場所へと伝播していく情報流通形態もそのひとつといえる.

本研究では,情報が発生する時刻,対象とする地理的な位置による場,対象間の距離,情報伝達や共有の遅延などの概念を積極的に取り入れ,実際のコミュニケーションをモデル化する実空間コミュニケーションを,「情報の憑依と地縛」という概念を用いて設計した.

この設計による応用システムとして「Content Cruising System (CCS)」を構築した.また,CCSの設計理念をITS 分野の先端研究である「センタレスプローブ」に応用し,センタレスプローブにおける情報伝達アルゴリズムを設計した.各システムを実証実験やシミュレーションなどによって評価し,本研究が提案した「情報の憑依と地縛」の概念が実空間コミュニケーションの手法として有効であることを実証した.

本研究における実空間コミュニケーションシステムは,デジタルテクノロジを用いた人間のコミュニケーション支援体系の多様な発展の原点として期待できる.

キーワード: ワイヤレスP2Pアドホックコミュニケーション,ロケーションベースサービス,コンテンツ配信システム,自律分散システム,センタレスプローブ

連絡先 本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
石田 剛朗 ( ishi at sfc.wide.ad.jp )


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