慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文

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学位取得年度 2003年度
氏名 泉山 英孝 (Hidetaka Izumiyama)
論文題目 静止衛星通信を用いたインターネット融合環境構築に関する研究
論文要旨

本論文は、広域性、同報性、柔軟性、耐災害性という特徴を持つ衛星通信を、地上回線により構成されている既存のインターネットと融合させる技術に関する研究についてとりまとめたものである。

迅速かつ柔軟に回線を確立できるという衛星通信の特徴を活かし、地上系インフラでは展開が困難な地域へのインターネットインフラの構築、低速な地上系インフラと広帯域衛星回線を組み合わせた広帯域ネットワークの構築、災害時等における地上回線のバックアップ利用を実証し、衛星通信がインターネットの広域への展開や接続性向上に有効であることを示した。

また、広域・同報型の衛星回線を用いることにより、IPマルチキャストを用いたインターネット上での放送環境の設計を行った。片方向の同報型衛星回線が、双方向回線を前提としているインターネットの経路制御の枠組みの中ではそのままでは利用できないことを論理的に示し、これが利用できるようにするための経路制御技術を開発し、実際の衛星回線を用いて映像・音声の同報配信やデータ配信ネットワークの構築、遠隔教育での利用など実ユーザを対象とした評価を行い、その有効性を示した。ここで開発した経路制御技術をだれでもが利用できるようにするため、インターネットの標準化団体であるIETFへ提案し、インターネット標準プロトコルにする活動も行い、その成果は、UDLR技術(Uni Directional Link Routing : RFC3077)として公開されている。

さらに、本論文で提案した手法を用いて実際にアジア地域で衛星インターネット融合環境を構築運用し本手法の有効性を検証した。衛星通信周波数帯として、降雨減衰の大きいKuバンドを用い、Kuバンドがインターネットの回線としては実用できることを示し、新たな周波数利用の開拓に貢献した。また、1999年からはCバンドも用いて9ヶ国15サイトを接続して各種の評価実験を実施し、本環境がインターネット基盤をアジア地域へ展開する上で有効であることを示した。

連絡先 本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
泉山 英孝 (izu@wishnet.co.jp )


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