慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文

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学位取得年度 2000年度
氏名 大川 恵子 (OKAWA, Keiko)
論文題目 デジタルコミュニケーション基盤に基づいた次世代大学環境の構築
論文要旨 本研究は、大学などの高等教育機関の本質的な使命をより発展的に実現するための諸課題を、デジタルテクノロジとインターネットを用いて解決するものである。本研究の手法として、現状の大学環境をインターネットとデジタルテクノロジを利用して拡張するというボトムアップアプローチを取った。

大学における、授業を中心とした教育活動を分析し、デジタルテクノロジを利用したインターネット上教育活動をSOI(School on the Internet)モデルとして設計し、実装を行なった。SOIモデルでは、教員と学生の間で共有交換されるすべての情報を「教育オブジェクト」と定義し、それをデジタル化してインターネット上で実現することで、従来の高等教育では実現できなかった教育オブジェクトの新しい価値の創造、および、グローバルなマッピングの実現を行い、現在の大学環境から、さらにグローバルで自由度の高い高等教育環境への移行を提案した。また、新しい価値を利用した、次世代社会における大学の変化、社会への貢献を提案・実証した。

本研究は、7大学、14名の大学教員および80名の特別講師などの協力を得て、6000人以上の参加者による3年半の実証実験を通して有効性を検証した。(WIDE University, School of Internet 実験サイト)

SOIモデルは、1)教育オブジェクトのデジタル化手法、2)教育オブジェクトを生成する教員・学生などのメンバーの管理、3)メンバーの認証基盤、4)教育オブジェクトを共有交換するコミュニケーション基盤の4つのコンポーネントをその構成要素として構築する。このモデルに基づいて、学生の登録と認証処理、授業の非同期受講、課題の処理、成績の処理、授業評価などのシステムとしての構成要素を定義し、その一つ一つをデジタル化することで、モデルの実装を行った。

本研究の成果として、授業という大学の財産を、デジタル技術を利用して蓄積・共有することで、いままでに実現できなかった授業の新しい価値を創造することができた。また、授業とそれにまつわる教育活動のデジタル化を実現することによって、大学は授業という価値在る資源を利用してより有効に社会に貢献することができることを提案した。また、デジタル化された授業は、学外だけでなく学内学生にとっても有用であることを証明した。

さらに、このように蓄積された知的財産を利用して、大学は、学生の実力の証明機関としての役割を、現在以上に明確に果たすことができることを証明し、社会と大学の新しい関係を提案した。

連絡先 本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
大川 恵子
keiko@wide.ad.jp


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