慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
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博士論文

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学位取得年度 2007年度(2007年3月23日)
氏名 三屋 光史朗 (MITSUYA, Koshiro)
論文題目 End System Based Handover Management for Multihomed Multi Internet
(異種移動体ネットワーク遍在環境におけるエンドシステムによるハンドオーバ機構)
論文要旨

本研究では,多種多様なネットワークを自由にまたがって通信を行う端末における,アプリケーション・フローの継続性および,ユーザポリシや通信環境変化への適応性を実現するハンドオーバ機構を提案する.

次世代インターネットの大きな特徴は,無線LANやWiMAX,携帯電話網といった無線アクセスネットワークが遍在することであり,ユーザは,多くの場所で,複数の特徴が異なるネットワークを同時に利用できることが想定される.移動端末は、複数の通信インタフェースを搭載し,通信の特性やユーザのポリシ,ネットワークの状態等にしたがって,ネットワークを切替えながらもしくは複数同時に接続しながら通信を行なう.

ところが,現状のインターネットアーキテクチャでは,その垂直統合型のレイヤ構造やビジネスモデルに起因して,様々な問題が発生する.たとえば,現状のエンドノードは同時に1つのネットワークしか利用することができない.また,ネットワークの切替えにともなって通信のエンドポイントであるIP アドレスが変化し,継続中のセッションが切断されたり,到達性が失われたりする.加えて,ネットワークの切替えにより通信環境が大きく変化するが,主にレイヤ間の連係不足に起因して,エンドシステムのアプリケーションはその変化に効率良く適応することができない.

これらの問題を解決するために,本研究では,IPパス管理機構およびフロー振分け機構,そしてハンドオーバサービス機構から構成される新しいエンドシステム・アーキテクチャを提案する.IPパス管理機構は,通信インタフェースごとにインターネット接続性の持続的確保を行なう機能および,その結果得られる複数のパスを透過的に(接続しているネットワークを意識する必要がなく、どのネットワークでも同様に)利用可能なインタフェースを提供する.フロー振分け機構は,それらのパスから,通信の特性やユーザのポリシ,ネットワークの状態に応じて最適なパスを選択し,そこにトラフィックを振り分ける機能を提供する.ハンドオーバサービス機構は,リンク層情報をレイヤ間で 迅速に交換する機能を提供し,各レイヤで実装される通信環境変化適応技術を支援する.

各種実証実験を行なった結果,提案システムはそれぞれハンドオーバシナリオで最適な性能を示した.これにより,提案ハンドオーバ機構は,異種ネットワーク遍在環境において,移動端末上のアプリケーションそれぞれにとって最適なインターネット接続性を持続に提供できることが確認できた.

キーワード:異種ネットワーク間相互接続,IPモビリティ,高速ハンドオーバ, マルチホーム,適応アプリケーション

連絡先 本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
三屋 光史朗 ( mitsuya at sfc.wide.ad.jp )


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