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本研究は,インターネットに接続しながら物理的に移動する対象を移動体と定義し,この移動体の地理位置情報をインターネット上で管理する地理位置情報システムを提案した.提案されたシステムの有用性は,本システムの性能およびセキュリティに関する評価と,本システムがインターネット自動車やプローブ情報システムに組み込まれて運用実験を行うことで検証した.
現実世界に遍在する多種多様な移動体を取り扱うために,本来インターネットでは依存性が低かった地理位置情報を移動体の管理情報の一つとして管理することによって,インターネット上から現実世界の移動体を地理位置情報と識別子に基づいて検索を行うことができ,様々な応用が可能となる.本研究では,4つの要求事項を提案した.これら要求事項の実現により,インターネットにおいて誰もが利用可能となる移動体の地理位置情報管理に必要な実用性を満たす.4つの要求事項とは,1) 移動体の地理位置情報サービスモデルの定義,2) 移動体の地理位置情報の正確性・信頼性,3)地理位置情報の安全なやりとり,4) 多数の移動体の管理である.
1) では,移動体の地理位置情報を管理することによって新たに可能となる検索要求として,移動体の識別子と地理位置情報の双方からの検索を提案した.この検索要求に基づいて,移動体・検索者・サーバからなる地理位置情報管理モデルを提案し,管理対象となる移動体の識別子と地理位置情報の登録および検索を実現した.
本研究では,以上4つの要求事項の課題と解決法について議論し,地理位置情報(GLI: Geographical Location Information)システムの設計・実装した.実験環境において,本システムの性能およびセキュリティに関する評価と考察を行い,要求事項の実現を検証した.また,本システムは,インターネット自動車やプローブ情報システムにおいて適用され実証実験を行うことで,移動体の地理位置情報管理の汎用性や応用の可能性を高めることができた.本システムの実現により,インターネットにおける実用的な地理位置情報管理の基盤技術を確立することができた.
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文
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学位取得年度
2003年度
氏名
渡辺 恭人 (WATANABE, Yasuhito)
論文題目
インターネットにおける地理位置情報管理手法に関する研究
論文要旨
2) では,インターネットにおいて移動体を取り巻く環境において,移動体が正しく自らの地理位置情報を登録し,それを管理することで信頼性を高めることを議論し,なりすまし,盗聴,改竄という脅威に対処する解決法を提案した.
3) では,移動体の地理位置情報管理において,パブリック,プライベート,ビジネスという3つの利用形態を考慮し,それぞれが求めるセキュリティやプライバシのレベルを整理することで,管理される識別子と地理位置情報の開示方法と検索可能性を検討し,識別子と地理位置情報のそれぞれを公開情報として安全に管理できる手法を提案した.
4) では,移動体の地理位置情報管理の規模性を実現するために,検索種類別のサーバの分割,組織および地理位置情報に基づく複数サーバの分散管理構造とその基本指針について提案した.
連絡先
本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
渡辺 恭人(riho-m@sfc.wide.ad.jp)
Copyright 2000, MAUI Project
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