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本研究では、インターネット上で自動車情報を利用して新たな価値ある情報を生成する情報システムの概念を定義し、これを実現するための自動車情報基盤アーキテクチャを提案した。また、提案したアーキテクチャを実現するために要件を定義し、これを満たすために3つの技術基盤の構築を行った。さらに、技術基盤に基づく実証実験や、国際標準化による合意形成を通して、自動車情報流通基盤アーキテクチャの実現可能性や社会的受容性を検証した。
自動車の情報化は社会全体の利益に繋がり、その必要性は高い。プローブ情報システムは、自動車の持つ情報を情報通信基盤を用いて収集する事で、価値ある情報を生成し、情報の共有・提供を行うシステムである。自動車情報基盤は、インターネットを用いることで、自動車の持つ多様な情報を、道路交通やそれ以外の新たな情報システムで活用可能とする情報基盤である。本研究では、この基盤を構築するために必要なアーキテクチャを提案した。このアーキテクチャは3つの技術基盤から構成されている。
自動車情報取得インターフェイス基盤は、自動車が持っている車両位置や速度、外気温や各種走行センサの状態等を統一した形式で保持する「車両データ辞書」を構築し、様々な情報システムが利用できるようにするための基盤である。プローブ情報生成基盤は、自動車情報取得インターフェイス基盤を活用して自動車の情報を取得・集約し、価値ある情報を生成するための生成スキームを提案し、プローブ情報システム構築の際に求められる規模性や即時性等を満たすための車車間通信の活用を実現する基盤である。プライバシ保護基盤は、自動車情報取得の際の課題である情報発信者の個人情報の漏洩やプライバシ侵害に関する不安を取り除くために、自動車情報流通基盤上において守るべき個人情報保護に関する基本的な遵守事項(基本原則)の策定と、プライバシを保護した上で有益なシステムの構築、およびシステム保全を担保する認証技術である匿名認証機構から構成された、情報発信者と利用者の安心・安全を守る基盤である。
本研究では、自動車情報基盤の実現可能性、および社会的受容性を検証するために、自動車情報を活用したプローブ情報生成、車車間通信を活用したプローブ情報システムの生成、および匿名認証機構を用いたプローブ情報システムの構築に関する実験を行った。また、合意形成を図るため、自動車情報フォーマットと、プローブ情報システムの個人情報保護に関する国際標準化活動を行った。これらの実験や標準化活動を通し、アーキテクチャに基づく自動車情報基盤の要件を満たしていることを検証し、実現可能性と社会的受容性について良好な結果を得た。
以上の研究活動によって、本研究はインターネット上での自動車情報基盤の構築を通して次世代プローブ情報システムの基盤構築に寄与することが出来た。
【キーワード】
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文
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学位取得年度
2008年度
氏名
佐藤 雅明 (SATO, Masaaki)
論文題目
インターネット上での自動車情報基盤の構築
論文要旨
1.インターネット 2.ITS 3.プローブ情報システム 4.車車間通信 5.個人情報保護
連絡先
本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
佐藤 雅明 ( saikawa [at] sfc.wide.ad.jp )
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