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バーコードやRFIDに代表される自動認識技術を用いることで、物理的なモノに固有な番号=個体識別子を付与し、モノを個体毎にコンピュータシステムで正確・高速に識別・処理することができる。これが個体識別である。本研究は、複数のモノが作る階層やグループ、受・発注などモノに関する論理的処理(コト)とモノの関係を、モノ・コトの「集合」と見なし、それらを個体識別技術とコンピュータシステムによって識別・処理する「モノ・コトの集合自動認識」を提唱する。本研究では「ビジネストランザクション(商取引)に紐づくモノ・コトの集合の把握」「モノの階層関係の把握」「集合からのモノの欠落検知・欠落識別子特定」を集合自動認識が実現すべき重要な機能として着目する。この三機能を実現することによる、個体識別を既存システムに円滑に組み込める共通的仕組みの実現と、従来の自動認識技術ではなしえなかった機能の実現を目指し、「集合自動認識機能を提供する共用実空間情報収集・共有基盤」「実データキャリアへの集合情報の付帯」の二つの研究課題に取り組んだ。前者では、個体識別情報を収集・共有するための情報システムの国際標準であるEPCISのオープンソース実装であるfosstrakに二重登録防止、受発注番号や商品管理番号と個体識別子との変換機能等の、集合自動認識機能を付加する「EPCISアダプタ」をJavaサーブレットとして設計・実装し、複数のサービスで共通に使うことができる基盤として構築した。本基盤は、農産物トレーサビリティ、災害用備蓄品管理などの実験・実用システムに導入されて、その実証実験及びシミュレーションにより、電子商取引などの既存パッケージソフトウェアと個体識別を組み合わせることが容易にでき、尚且つ情報取得に関わる処理のパフォーマスを向上できることを確認した。後者は、情報基盤と連携できない状況でも「集合からのモノの欠落検知・欠落識別子特定」を実現する技術で、本研究が世界で初めて提案・実現した。誤り訂正符号の考え方を個体識別子に適用し、冗長な情報をデータキャリアに分散保持させることにより、データキャリアとその読み取り機だけで完結して集合からの欠落検知・欠落識別子特定を行う手法である。数値シミュレーション及び実データキャリアとしてUHF 帯RFID に本手法を適用して行った実験から本手法の動作・性能を検証した。
キーワード: 個体識別, 情報システム, EPCIS, 誤り訂正符号
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文
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学位取得年度
2016年度(2017年3月23日)
氏名
佐藤 友紀 (SATO, Yuki)
論文題目
モノ・コトの集合自動認識
論文要旨
連絡先
本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
佐藤 友紀 ( sat3 at sfc.wide.ad.jp )
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