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“高度に信頼可能なインターネット”(Dependable Internet) に向けた第一歩として,本論文ではネットワークの可用性を予測し向上するためのドメイン内経路制御技術について議論する.
現在のインターネットは,個別の構成要素の信頼性に関する研究を組み合わせることによって成り立っている.この手法では,通信ネットワーク全体の実質的な信頼性を充分に向上できない.理由は次の二つである.一,現在の信頼性に関する研究はネットワーク構成要素を網羅していない.二,各構成要素に対応する信頼性保持の技術が故障した際の代替案が提供されていない.結果として通信ネットワークは手動で修繕されるまで機能を停止する可能性があり,インターネットの信頼性はミッションクリティカルな通信に対して充分でない.
本研究は通信システムの可用性の予測と向上を実現する.事前に積極的に複数パス経路を準備し,障害の多くを確率的に回避する手法を,本論文は提供する.複雑な概念を追加せずに高可用性インターネットに必要な経路制御技術を構築した.
本研究は以下の提案によりIP ネットワークの可用性向上に貢献する.一,経路制御手法を考慮しネットワーク可用性を試算するため,また経路制御手法を評価するためのシミュレータ“SimRouting”の提供.二,信頼性についての構成要素の網羅に貢献する,OSPF経路制御機構を安定化する手法.三,ホップバイホップネットワークにおいて多くの複数パスを計算する新しい経路制御アルゴリズム “MARA”.四,通信再確立が複数パスの一つにランダムに割り当てられる新しい経路制御アーキテクチャ“Drouting”.五,Droutingアーキテクチャの上でネットワークを最適化する手法.
インターネットにおける経路制御機構は約30年の間,単一最短パス経路制御としてとどまっていた.実現可能性を考慮し,本論文は最大数の代替経路を利用するという新しい概念を導入した.新しい経路制御アーキテクチャは,障害検知機能と経路変更機能を分離し,それらの柔軟な活用を可能にした.この経路制御アーキテクチャは,サービス品質を考慮した経路制御などを実現するように拡張されることが期待できる.次世代インターネットのための基本的な経路制御アーキテクチャの一案が提案された.
キーワード:複数パス経路制御,経路制御アルゴリズム,経路制御アーキテクチャ,ネットワーク信頼性,ネットワーク可用性,障害回避
慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
MAUI Project
博士論文
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学位取得年度
2007年度(2008年2月27日)
氏名
小原 泰弘 (OHARA, Yasuhiro)
論文題目
高度に信頼可能なインターネットのための経路制御アーキテクチャ
論文要旨
連絡先
本文が必要な場合は下記までご連絡ください。
小原 泰弘 ( yasu at sfc.wide.ad.jp )
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